2022.10.16
第2回目の講座は、株式会社散歩社 代表取締役CEOである小野 裕之氏がゲスト。小野氏は、ソーシャルデザインをテーマにしたウェブマガジン「greenz.jp」の立ち上げから携わり、現在は、秋田や日本橋、 下北沢など、まちづくりのプレーヤーとしても活動しています。
フィールドワークを1週間後に控えた第2講座では、多くのローカルビジネス事例を知る小野氏がどんな視点で地域をみているのか、大切にしているキーワードなどについてお話しいただきました。
第2回講座概要
日 時:2022年7月26日(火)19:30~21:30
形 式:オンライン
テーマ:地域でお金を生み出すための価値提供
講師:小野 裕之 氏(株式会社散歩社 代表取締役CEO)受講生の声
・とにかく場数を踏んで経験値を積んでいくことが必要だと感じた。
・尖ったことをやる前にまずやるべきことがあるということは、色々なことに通ずると思った。
・大きなビジョンや夢物語を描くのでなく、小さな現実を掘っていく経験がまた自信を生む。
・地域での事業の進め方や関係する人との関わり方、マネタイズの重要性がわかった。
現在、ジュエリーブランド SIRI SIRI やおむすびスタンドANDON、下北沢BONUSTRUCKの運営などさまざまな事業に関わる小野氏。
「greenz.jp」というソーシャルデザインをテーマにしたメディアに長年携わり、さまざまな人のケースをみてきた中で、社会を自分でデザインできる部分が少しでもあると、今の社会は生きやすくなるのではないかと話します。
「ソーシャルデザインとは、社会の課題や地域を創造的にデザインしたり、設計したりすること。実際に個人でさまざまなチャレンジや活動に取り組む人たちは、誰かのためにやっているだけじゃなく、自分のためにやっている人が多いんです。社会全体をデザインし直すことは難しいかもしれない。でも、もし社会のルールにただ従うことにフラストレーションを感じているのであれば、自分が主体的に動くことで、身近な社会が変わっていくことを実感できると思う」
その際に小野氏が大切にしているキーワードをお話いただいたので、いくつかご紹介します。
では、自分が主体的に動こうとしたとき、まず何をすればいいのか。一番最適な答えが出るまでじっと考え込む人も多いかもしれません。しかし小野氏は、「あれこれ想像することも大事だが、都会と比べ地域で本業になり得る仕事は限られている。だからこそ、今ある選択肢の中からまずやってみることの方が大事だ」と言います。
「もちろん闇雲になんでもやればいいということではなく、最低限考えるべきことはあります。現実には運命的な出会いはじっと待っていても来ないんです。インプットしたら実践を少し多めにやるくらいのバランスで、とにかく打席に立つこと。そして、うまくいかなかったら具体的に工夫して改善する。それが自信につながっていくんです」
さらに、小野氏は地域に存在する感動的なストーリーとの付き合い方についても触れ、大切なのはそこにお金を払う価値があるのか、価値と共感はある程度分けて考える必要があるとも話します。
そして、仕事として成立させるためには、始めたばかりだからと安売りせず、価値を高めて稼げる仕組みにしていくことが重要とのこと。
「私も地域に行くと感動します。でも、そのストーリーが生きてくるのは、その地域の食材や風景に価値があるからこそ。みんなが感動することに引っ張られず、自分がいいと感じたものを信じてほしい。もし誰もが共感することでなかったとしても、地域の中で小さく尖った変化の兆しを自分が敏感に感じ取ると、それが差別化の源泉になります。ビジネスとして展開する際には、消費者側の視点で考え、どう付加価値を高めていくかという視点も大切ですね」
ワクワクするような妄想や理想論は何かを始めるきっかけとして大切なことです。しかし、小野氏は、そこからさらにどう現実に落とし込んで価値を提供していくかという重要なキーワードをたくさんお話くださいました。
貴重なお話をありがとうございました!
講義の後半は、グループワークをし、受講生からも質問を受けながら、小野氏と対話する形で実施。受講生は、学生から会社員、実践している人までさまざまで、今回の講座は、それぞれの経験や立場の違いから、すぐに腹落ちした人や整理するのに少し時間が必要な人、一人ひとり感じることが違ったかもしれません。
しかし、今回の講座によって、1週間後のフィールドワークをより立体的な視点で捉えることができるのではないかと思います。そして、今後実践していく中で、小野氏から学んだ視点は必ずどこかでつながってくるはず。
このアカデミーには、どんなに小さな挑戦でも賞賛する仲間がいます。どんな形でもいいので、それぞれの打席に立つことから始めていきましょう!